「浴衣、脱いで」

部屋に着くなり、藤枝君は言った。

「えっ!な、何で!」

「風邪引くよ、そのままだと」

藤枝君は困ったな、という感じで頭を掻く。

「僕がドライヤーで乾かしておくから、ハルナちゃんはお風呂にでも入って温まっておいでよ」

藤枝君は、クルンと向きを変えると、バスルームへお湯を入れに行こうとした。

「私、浴衣を自分では着れないの。だから、このままでいいよ!」

私は胸元を押さえながら、彼の後姿に大声で応える。