「『実は、このRomanee Conti』の1978年は彼女が前の旦那さんと出会った年なんだ」

「えっ!?」

オレはワインをまじまじと見つめた。

「彼女とあいつが育ててきた大切な時間のリレーを今度は私が引き受けていきたいと思ってね。
よーっく、噛み締めて飲んでみるつもりだよ」

「の、割にはピッチが早いじゃないですか」

オレが、冷やかすと、ヤブのヤツ、クスリと笑った。

「まぁ、多少のヤキモチくらいは入ってるかもしれんな」