その聞き覚えのある男の人の声に、硬直する。

柔らかなテノールのその声の主は、私の腕を掴むと、ずんずんと席まで歩いていく。

「窓側へどうぞ……」

彼の提案に私が首を振ると、彼は窓側に腰を下ろし、足を組む。

そして、肘杖を付いて車窓を眺めながら、「そうやって京都まで立っているつもり?」と素っ気無く言葉を掛けてくる。