夕闇迫る多摩川の土手を、君は鼻をぐすぐす鳴らしながら僕のコートの端を掴んで歩いている。


この微妙な距離感が、今の僕たちの心の距離そのものみたいで、僕はもどかしさを覚える。


それでも僕は、顔を上げることができないまま黙って君の前を歩く。