「さて、と、頑張って歩きますか」

少し轍の残る雑木林の中、僕は落ちた小枝を踏みながら手入れのされていない小道を進んでいく。

目指す家は丘の中腹辺りにようやくその姿を現した。

古い木造りの小さな2階建ての家は、良く見ればあちこちから隙間風が入りそうな位、木や塗装が剥がれ落ちていた。

その家には押しボタン式のチャイムは無く、僕は戸を叩くしかなかった。