「どこに行こうとしているんだ。その体で……」

父はチアノーゼが出始めていた僕の手を取ると、僕の眼前に突きつけ、詰問する。

「運転手さん、すみません。行って下さい」

父はタクシーの代金を精算する。


「待って下さい!」

僕は今にも閉まりそうなドアに手を掛ける。

「おいおい!ホントにもーどっちなんだよ?」

運転手はお手上げだと言わんばかりに両手を持ち上げるジェスチャーをする。