「、こっち見んなよ」
そんな声が降ってきたかと思えば。
次の瞬間、背中に回った腕にぐいっと引き寄せられたわたしの体。
わたしはその広い腕の中に包まれていた。
「……〜〜っ!?」
───なななんで立花くんがわたしを抱きしめるの?
パニックで言葉も出なくて。
身動きも全く取れなくて。
だけどなぜか、力強く抱きしめてくる自分と同じリズムを刻む心音を、ひどく心地よく感じている自分がいたんだ。
顔を見られまいとしてるのか、彼がわたしの肩に顔をうずめているから、
首筋にサラサラの髪が当たってくすぐったい。
「……た、立花く……」
「動かないで。もう少しだけ、このままでいて」
「く、くるしい……」
「あと少しだから」
「あの、ちが……わたし……」
力なく抵抗したわたしに異変を感じたのか、パッとわたしの体を引き離す立花くん。
「……おまえ、なんか顔色悪いぞ」
「……着物の帯が……く、くるしくて……」
そういうと、拍子抜けしたような表情を見せたあと、プッと笑った。

