ちゃんと、断らなきゃ……!
流されちゃダメだ。
「い、いえ! けっこうです」
「なんで? 二人で探した方が見つかりやすいよ、お友達。それとも彼氏かな?」
「ほ、ほんとにいいんで! わたし、ここで待ってるんで……!」
それでは! と少し距離を取ろうとすると、腕を掴まれて。
「つれないなぁ。いいから、行こう一緒に」
「ちょっ……離して……」
このひと、全然話聞く気ない!
しかも腕、力強くて痛いよ……
───なんでこんなことに。だれか、誰でもいいから、助けて……
痛さで顔が歪む。
思わず涙がじわっとにじみ、そう願ったその、とき。
「……おにーさん、」
私の腕をつかむ手を、つかむ誰かの手。
それは見覚えのある濃紺の羽織。
手元から視線をずらしてその姿を目に捉えたその瞬間、限界まで込み上げていた涙が、ぽろりとこぼれた。
「その手、離せよ。
こいつのこといじめていいの、俺だけなんだよ」
───なんで、立花くんなの。

