……え、なんで急にこっちを……
でもよく考えたらこれは、チャンスなのでは!?
「た、立花くんっ」
みんなに、聞こえるか聞こえないかくらいの声で立花くんを呼ぶ。
……あ、あれ、聞こえてないのかな。
「……立花くんっ」
今度は少し大きめの声で。
でもやっぱりこちらには反応してくれない。
「立花くんてばっ!」
くいっと彼の着てるセーターの裾をつまんで、呼びかけると。
バッと周りの人たちが一斉にこちらを向いた。
……や、やばい。声、大きすぎたかも。
「……なに、成田? そんな大きな声出して」
───あ、これはちょと前から聞こえてたパターンだな!?
みんなに注目されて焦るわたしを見て、ニヤニヤと面白そうに笑っている立花くんの様子にそう確信した。
「ちょ、ちょっとお願いがあるんだけど……」
「なら、場所移そ」
「え?」
急に手首を掴まれ、ぐいぐいと引かれ教室の隅っこまで移動する。

