……別に、貸してくれなかったからムカついた、とかじゃない。
だって、なくても困らなかったし、実際。
ただ、なんで、気づいてたのに声すらかけねーの? って、不思議に思っただけ。
薄情だなー、って思っただけ。
……そんな1日目が終わって、入試2日目の朝を迎えることになる。
朝、自分の席に着こうとした俺は驚いた。
机の隅っこに、明らかに誰かの消しゴムが置いてあったから。
なぜか、そのときすぐにピンと来た。
『なぁ、これおまえの?』
気づいたら隣の女にそう声をかけていた。
はじめて、その姿をちゃんの視界に捉える。
色素の薄めな、二つに結ばれた髪、色白な肌、まんまるとした目。
……本当、どこにでもいそうな感じの子だった。

