って言っても、ただ……消しゴムを、忘れただけなんだけど。
それに気づいたのは試験開始10分前くらいで、もう席に着かなきゃいけない時間だった。
焦っても仕方ないってのもあったけど、俺は不思議と冷静で。
ていうか、全くどうでもよかった。
今思えば、シャーペンにちっさい消しゴムついてたし。
なのに……
なぜか、横の女がなぜかチラチラこっちを見てくるようになった。
普段から見られるのには慣れてたけど、そいつの視線はそーゆーのじゃなくて。
……"ああ。俺が消しゴムねーの、気づいたんだ"ってすぐ理解した。
ちょーどいいや、俺から言うまでもないと思ってたけど、向こうから貸してくれるんなら。
なくて困るもんじゃねーし。
なのに、次の時間も、その次の時間も。
そいつは消しゴムを貸してはくれなかった。

