でも次の瞬間、優しく唇をふさがれて、わたしは何も考えられなくなる。


ただ触れるだけだったけど、角度を変えながら何度も、何度も。




耳をすますと、グラウンドから部活をしている生徒たちの声がかすかに聞こえる。


立花くんの香りにまじる、ホコリっぽい匂い。




余計なことばかりが頭の中をめぐる。


ううん、余計なことを考えてないと、頭がおかしくなりそうだった。





「っは……」



しばらくして、唇を離された瞬間、一気に解放された気分になって。



大きく息を吸い込む。





「おまえ、息止めてたろ……」


「え」




ぎゅっとわたしを抱きしめながら、すぐに見抜いてくる立花くん。



い、息なんてしてる暇なかったよ……!




でも、ぎゅってしてくれたのが嬉しくて、こっちからも少しだけ抱きついてみると。


ピタッと一瞬、立花くんの動きが固まる。