「弟が…わたしがハンカチなくて困ってたら貸してくれたやつなの!」
「…へー、おまえ、弟いるんだ」
だったらなに? わるいですか! と低い位置から精一杯、立花くんを睨む。
そんなわたしの必死の抵抗もむなしく、彼が何か思いついたように悪い笑みを浮かべたのを、わたしは見逃さなかった。
「じゃー返して欲しいよな? これ。返してほしきゃ、自力でとってみな。オネーチャン」
……ほら、やっぱりこういうこと。
無理に決まってるじゃん、何センチ違うと思ってるの!?
わたし、160あるかないかなんだよ!
わかって言ってるんでしょ、このオニーー!!
……と、直接言えたらどんなにいいことか。
「……か、返してよっ」
仕方ないので、とりあえず、奪い返そうとはしてみる。
してはみる、ものの。
当然のように避けられて、うまくとれない。
だんだん嫌になってきたわたしとは裏腹に、わたしの手が宙を虚しく舞うたびに、ニコニコ笑ってる立花くん。
ほんとうにこのひと、性格が歪んでるんじゃないかな…!

