「立花くん、ごめんねわたしのせいで濡れちゃって……。今タオル持ってくるから、ちょっとだけ待ってて!」
そう言い残して、家の中に入ろうとしたそのとき。
反対側から玄関のドアが開いて、わたしは思わずびっくりして固まる。
少しだけ開いたドアの隙間から顔をのぞかせたのは……
「……湊(みなと)!」
「……おかえり、ねーちゃん」
わたしの、小学2年生の弟の湊だった。
年が離れていることもあってか、とっても仲がいい。
……って、湊、なんかすごい立花くんを見てる?
「湊、なんでわたしが帰ってきたのが分かったの?」
「ねーちゃんと誰かの話し声がしたから、来た!」
「ありがとね。……あのね、このお兄ちゃんにタオル貸してあげたいんだけど、」
早く貸してあげないと、風邪引いちゃうかもしれないし……。
と、焦るわたしをよそに立花くんを興味津々といった顔で見つめる湊。
「……このひと、ねーちゃんのカレシ?」
……は、はい?

