恋愛初心者


広い屋上には手入れのされた植木がいくつか並んでいて、



屋上からの見晴らしもとてもいい。



気分を落ち着かせたい時には学校がなくてもここに来るんだ。



って…





「えっ?!」



いつものように棚をくぐると…



ソファに寝転がる一人の男子が。



「……。」



「えっと…滝川、勝利くん?」



今日改めて覚えた人だから、よく覚えてる。



「……。」



え…?



あの天然ふわふわ王子様が無視…ですか。



「同じクラスの襟花、って言うんだけど…」



「……。」


無視?


「おーい。」



え。


「おー」



「ごめん。」



「え…?」



「俺、耳が聞こえにくいんだ。」



は?


「なにいってんの?」



「耳が聞こえにくいから、あんまり話しかけないで。ごめんな。」


そう言って不敵な笑みを浮かべた彼。


「あの…ちょっとなにいってるのかがわかんないんですが…。」



「ばかなの?耳聞こえにくいっていうののどこがわかんないの?」




「聞こえてるじゃん!」



私は思わず笑いながらソファから落ちたクッションを投げつけた。



「は?なにすんだよ。」


怖い。


「あのさ。」



「あ?」



「あなたって…滝川くんだよね?」




「ああ。」



いつもの滝川くんなら、うん♪って答えてる。



「もしかして、これが本性?」



「さあ?♪」



いつものスマイルだ。



どっちが本物…?