翌々週の月曜日――…。
久しぶりに出勤した橋爪は、ものすごい上機嫌な希美に迎え入れられた。
「じゃーん、見てください!」
手を大きく広げた希美の後ろに広がった、課の様子を見て思わず感嘆の声を発する。
橋爪の1週間の研修中に希美は自分なりに考えて、各々のデスク周りと課内の備品の片付けをしたのである。
今まで誰のものかよく分からなかった荷物を総務課の面々にも確認してもらい、要らぬものは処分。
同種類のものをひとまとめにして、マジックやテプラで名前を明記し、誰が見てもどこに物があるか分かるようにした。
ストックしている消耗品は『残り5つを切ったら宮下まで!』という張り紙をしてアピール。
元の惨事を知るだけあって、橋爪もまんざらでなく感心しているようだった。
「どうですか、綺麗になりましたか?」
犬のように飛び付いてくる希美を振り払いながらも彼は楽しそうに笑っていた。
「得意気になるな、これが当たり前のオフィスの姿だ」
その言葉を聞いて、ようやく希美はほっと一息ついた。
合格点はもらえたのだろう。
「宮下さん、先週頑張ってたからなー!」
「そうね、見違えたようだわ」
「グッジョブ!」
周りの面々もパソコンや手元の書類に集中していたかと思えば、口々に会話に加わってくる。
「……なーにニヤニヤしてるんだ、チビ」
「ち、チビって! ニヤニヤなんてしてませんッ」
「いや、してた。エロい顔」
「せせせ、セクハラですよ!」
ゆでダコのように真っ赤になった希美を橋爪は鼻で笑う。
(もう、久しぶりだっていうのに……ッ)
1週間いなくてほっとすると思っていたのに、気がつけば橋爪の帰りを待ちわびていた。
荷物を自席に置いて課長の元へと離れていく後ろ姿を見ながら、希美はウキウキする気持ちを感じていた。
(にやけてるかな……?)
思わず頬に手を添えて締まりのない顔を確認する。
ちょうどその時、富永と目が合ってしまい気まずく笑って見せると、彼女の赤い唇が微かに動いた。
「エロだって」
思ってもみなかった発言に、富永の隣で盛大にコーヒーをむせ返す音がした。
「橘田さん吹き出すなんてひどい……」
「えぇ!?俺が悪いのッ?」
艶やかに微笑む富永は、動揺する橘田に満足しながら何事もなかったかのように立ち去る。
残された橘田は完全に濡れ衣であったが、富永の手前、自分を悪者にする決心がついたようである。
申し訳なさそうに「すまん」と手刀をきった。
その姿が思いのほかツボにはまり、希美も笑いを噛み締めながら「大丈夫です」と言うだけに留めた。
久しぶりに出勤した橋爪は、ものすごい上機嫌な希美に迎え入れられた。
「じゃーん、見てください!」
手を大きく広げた希美の後ろに広がった、課の様子を見て思わず感嘆の声を発する。
橋爪の1週間の研修中に希美は自分なりに考えて、各々のデスク周りと課内の備品の片付けをしたのである。
今まで誰のものかよく分からなかった荷物を総務課の面々にも確認してもらい、要らぬものは処分。
同種類のものをひとまとめにして、マジックやテプラで名前を明記し、誰が見てもどこに物があるか分かるようにした。
ストックしている消耗品は『残り5つを切ったら宮下まで!』という張り紙をしてアピール。
元の惨事を知るだけあって、橋爪もまんざらでなく感心しているようだった。
「どうですか、綺麗になりましたか?」
犬のように飛び付いてくる希美を振り払いながらも彼は楽しそうに笑っていた。
「得意気になるな、これが当たり前のオフィスの姿だ」
その言葉を聞いて、ようやく希美はほっと一息ついた。
合格点はもらえたのだろう。
「宮下さん、先週頑張ってたからなー!」
「そうね、見違えたようだわ」
「グッジョブ!」
周りの面々もパソコンや手元の書類に集中していたかと思えば、口々に会話に加わってくる。
「……なーにニヤニヤしてるんだ、チビ」
「ち、チビって! ニヤニヤなんてしてませんッ」
「いや、してた。エロい顔」
「せせせ、セクハラですよ!」
ゆでダコのように真っ赤になった希美を橋爪は鼻で笑う。
(もう、久しぶりだっていうのに……ッ)
1週間いなくてほっとすると思っていたのに、気がつけば橋爪の帰りを待ちわびていた。
荷物を自席に置いて課長の元へと離れていく後ろ姿を見ながら、希美はウキウキする気持ちを感じていた。
(にやけてるかな……?)
思わず頬に手を添えて締まりのない顔を確認する。
ちょうどその時、富永と目が合ってしまい気まずく笑って見せると、彼女の赤い唇が微かに動いた。
「エロだって」
思ってもみなかった発言に、富永の隣で盛大にコーヒーをむせ返す音がした。
「橘田さん吹き出すなんてひどい……」
「えぇ!?俺が悪いのッ?」
艶やかに微笑む富永は、動揺する橘田に満足しながら何事もなかったかのように立ち去る。
残された橘田は完全に濡れ衣であったが、富永の手前、自分を悪者にする決心がついたようである。
申し訳なさそうに「すまん」と手刀をきった。
その姿が思いのほかツボにはまり、希美も笑いを噛み締めながら「大丈夫です」と言うだけに留めた。

