にじいろオフィスの仕事術

「すみません、華金なのに……」

「べつにー。予定なかったし」



そう言葉を交わしたのは、捜索を開始してから1時間が経過したころである。



まず始めに希美の机の中を全部出してみた。





賞味期限が切れたお菓子が発掘されたり。

なくしたと思っていたどっかのお土産のボールペンが壊れた状態で出てきたり(栞奈ごめん…)。

箱から飛び出てクリップが爆発していたり。





あまりの惨状に、橋爪どころか自分でも絶句した。

これをイケメンに見られるのは正直辛いものがある。



「あっ……!!!」



突如発せられた甲高い声に、橋爪の期待も高まる。

希美は橋爪に満面の笑みを向けた。



「500円玉見っけ!」

「……ふざけんなッ、真面目にやれ!!」



そんなやり取りもむなしく、机の中に目当てのものは見つからなかった。



次に怪しかったのはデスクの上やその周辺であったが、昼間の縦置きの一件ですでに書類は整理されており望みは薄い。



「しかし汚いフロアだよな……」



デスク下を覗きこみながら呟いた一言は、希美も日ごろ感じていることのひとつだった。



「どうしてもパソコンケーブルや延長コード付近に埃がたまりますよね」

「火事でも起きたらシャレになんねぇよ」



ティッシュで埃を剥ぎ取りながら、橋爪は「うぇっ」と下品に唸る。



「あれー?  こんなところに蛍光ペンのストックありました!」



窓際の棚付近を探していた希美が、輪ゴムで無造作にまとめられた蛍光ペンの束を橋爪に見せる。

彼はものすごくげんなりした顔をしていた。



「最悪、昼間に頼んだばっかりじゃん……」

「それもそうですねぇ」



言いながらあるべきところに蛍光ペンを納める。

最初からここにあれば要らない小言を言われずにすんだのに。



「橋爪さんの言うとおりですね。当たり前のことを疎かにすると逆に手間がかかることがあるんだ」

「分かればよろしい」

「偉そー」

「お前より偉いんだよ、バカ!」



離れたところで同時に二人で笑い声をあげた。