教師たちが徐々に現れ始めて来た頃、俺は転入生を待つのと同時に空を見上げていた。少ししかない雲が、

“つまらない奴だ”

 と俺に話しかけているように見えて、俺は下を向いた。
 転入してくる生徒がどんな人かは教えられていないが、少なくとも向こうは知っているだろうという根拠のないアレが俺の中にあった。常識的に考えて、

“それくらい教師の仕事だろ”

 と思っていたからだ。でもなぜだかわからないが、少し心配でもあった。きっと転入生がくるという慣れないことを任されたからだろうと、何度も思い込むことにしてみた。が、このもやもやの中でできるはずもなかった。
 一様、何度も考えないようにしてはみたんだ。でも、結局転入生のことしか浮かんでこなかった。てゆうか、それしか考えることが出来ない俺がいた。すると、

“!?”

 平凡で、知識もあまりない俺にもわかるくらいの高級車が目の前に止まった。



 学校は変えても、兄弟たちのおかげで自宅は変えていなかった。そのせいで、私は朝早くこの家を出ている。
 朝早いから睡魔が無いわけではなかった。あくびだって、学校に着くまでに何回もする。でも、二度寝するほど眠いわけではなかった。それよりも私は、父の過保護さに呆れてきていた。絶対に一人では外に出させてくれないのだ。それに、欲しがるものはどんなものでも必ず倍にしてくれた。私は父に物を欲しがるたび、いつも思った。

“そのうち破綻するよね”

 って。でも、私には関係のない話だと思っていた。理由は簡単。父親以外にお金の宛があったから。ただそれだけだった。それでも、一様心配はしていた。理由は、いくら毛嫌っても家族だから。
 そんなことを考えながら、窓の外をボーッと眺めていた。
 ここの通学路は、今の時期とても楽しめそうだとも思った。海岸沿いを走っているのだった。きれいな景色がずっと続いていたのだ。海があって山があって、ファンタジーの世界かと思うくらい森、林もたくさんある街だった。
 この景色を楽しみながら登校していると、突然、車が止まった。新しい学校についたのだった。私は珍しくため息もせず車を降りたのだった。