「ってか、何で俺には敬語なの?睦月先生には普通だったよな?」

「先生以外の人は…普通に話してるかもです」



…うん、たしかに敬語なのは先生だけだ。



「話しにくいから俺にも普通に話してよ」

「普通、教師なら敬語で話せっていいますよね?」

「堅苦しいの嫌いなんだよ」

「先生だってみんなの前だと敬語じゃないですか…」

「ま、いいじゃん。それは」



交わしやがった…。


先生って断れなくするのが上手いと思う。



「だから普通に話せ。な?」

「…でも、先生に初めて会った時は先生じゃなかったから…助けてもらった恩人だもん」

「大袈裟」



そう言うと、ほっぺたをつねられた。



「痛いんですけど…」

「なら、普通に話せよ」

「…分かりました、じゃなくて…分かった」

「上出来」



そうすると、今度は私の頭を撫でる。


それにドキドキしてるなんて、先生は思ってもいないだろう。