「ごめんなさい…私のせいで」
「別にいいよ。俺がお前に傘を渡したかっただけだから」
……ドキッ。
「じゃあ……いつか傘返してくれな?俺あれしか傘持ってないから」
「あっ!なら今返します!」
「いいよ。帰りも使いな。今日一日中雨の予報だし」
一日中雨……。
なのに傘忘れるなんて私バカだ。
「…名前は?」
「えっと…1-Aの霜月美優っていいます」
「1-Aか…。それなら英語俺担当するわ」
「え?私のクラスの?」
「そ。英語の先生産休入っただろ?その代わりにね」
代わり……か。
私の大嫌いな英語の先生…。
「あの…先生の名前は?」
「文月」
「文月…先生」
「ん。よろしく。あ、俺校長のところ行くんだった」
「あ、ごめんなさい…話してしまって」
「謝りすぎ。それに俺から話しかけたし。じゃ、部活の朝練だろ?頑張ってな」
パタパタと小走りで校長室に向かう文月先生。
……どうしよう。
ドキドキしてる……。

