ー出会いー

この日、ミカは昼休みが終わる頃、教室に向かった。
教室のドアを開け、中に入る‥‥。

生徒たちから一瞬注目を浴びるがすぐに戻る。誰もミカに声をかける人はいなかった。
ミカは自分の席に着き、耳にイヤホンを着け音楽を聞きながら辺りを見渡した。

するとすぐに、三井が言ってた人物が分かった。

あれ?あの子って何処かで‥‥?
あっ、確か入試の時の‥‥。
フッ、こんな偶然あるんだ。



「おいミカ、昔の自分は見つかったか?」
「うん、まぁ‥‥」

「どう思った?」
「別に‥‥」
「お前なら今のそいつの気持ち分かるんじゃねーの?」
「‥‥‥‥どうでもいい」
「ふーん」
三井は何か不満そうな顔だった。


「それよりさ、偶然って2回も続く事あると思う?」
「んっ?何だ!急に」
「前に話した事、覚えてない?入試の日トイレで体調悪い子を偶然見つけたって‥‥」
「あぁーー、何か言ってたな」
「その子なの」
「んっ?何が?」
「だからその子が昔の私に似てる子」
「フッ、それ偶然じゃなく、運命なんじゃねーのか?」
「運命?そんなのあるはずないじゃん」
「それはお前が信じてないだけだろ?少女漫画だったらそこから恋愛になるなんて当たり前だぜ」

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

運命‥‥。
私は昔からこの言葉が嫌い。
なんでも運命のせいにする。
出会い、別れ、それが運命。
何それ!意味分かんない‥‥。


たまに行く教室、何故か三井が言ってた子に目がいってしまう。

本当は面白くないのに笑う。
嫌われたくないから話を合わす。
楽しくなくても一緒にいる。
私には今のあの子の気持ちが嫌なほど分かってしまう‥‥。
本当、昔の自分そっくりだ。