あの夜に散々聞いた、膜に包まれたようにこもった声が降ってくる。
「どっちが年上とか、そんなこと関係ない。」
目を逸らすことが出来ない。
「俺は絶対に裏切ったりしません。誓います。」
胸の奥が、熱い。
「貴女は何も考えずに、俺の胸に飛び込んできてくれればいいんです。だから、」
そろそろ、俺のものになってくれませんか?
いいのだろうか、これで。
彼氏と別れて、まだ数週間なのに、こんなこと。
まだ頭のなかで、そんな考えがぐるぐると巡っている。
だけど、頭のどこか片隅で、何かが動かが動いている。
そして、その事実から目を逸らせなくなってきていることを、感じている。
「あのね、私めんどくさい女なの。」
「奇遇ですね、俺もです。」
「年のわりに子どもっぽくて幻滅するかもしれない。」
「新たな一面も見てみたいですね。」
「料理も下手だし。」
「俺が作りますよ。」
すらすらと返す彼に、思わず吹き出した。
ほんと、ああ言えばこう言う、だ。
久しぶりに溢れた私の笑顔を見て、彼も同じ表情をしている。それを見て、私は更に口を開く。
「私、全然可愛くないよ?」
性懲りもなく更に続ける私を笑う。

