噂は人から人へ、あっという間に学年中に広まった。
地味でこれといった取り柄もなかった私は、ほんの僅かな間に「親友の彼氏を寝取ったビッチ」として有名人に。
麻実には避けられ、クラス中から白い目で見られる。廊下を歩けば他クラスの生徒がヒソヒソと噂する。
すっかり女子ネットワークの恐ろしさを思い知らされた私は、事実とは相違点がある噂に反論する気も失せた。
噂の一部が事実である以上、どうにもこうにもこの状況は覆しがたい。ならば、諦めてしまうのが楽だ。
(……暑い)
夏の屋上はただいるだけで汗がにじむ。日陰に身を隠しても、箸はそれほど進まず、思わずため息をついた時だった。
「こんなところでぼっち飯?」
「……うるさいな」
私は横目でチラリと見て、短く返した。
只でさえ鬱陶しい暑さにクラクラしそうだというのに。
「すんごい噂を聞いたけど、本当?」
私はこの人――瀬戸くんが苦手だ。

