義兄(あに)と悪魔と私

 
「そういえばさぁ、円」

ドラマの話題で盛り上がる女子グループの一人が、不意に私達の方へ声をかけてきた。

「……なに?」

それはあまりにも唐突で、彼女達とはそれほど仲が良いわけではない私は、少し緊張しながら答えた。

「修学旅行の二日目、有坂くんと一緒にいたでしょ?」
「えっ?」

驚きの声を上げたのは麻実。

「……」

私は咄嗟の対応を誤った。
言葉が出て来ず、上手い切り返しが出来なかった。

「もしかして、あたしとはぐれちゃった時? でもあの時は一人で買い物してたって……」
「円、麻実にも嘘ついてたの? あやしーい!」

声をかけてきた女子が囃し立てるように言うと、周りの女子達が騒ぎ出す。

「ちょっとアキ、どういうこと!? 聞いてないんだけど」
「だって今思い出したんだもーん。偶然見たんだよね。超絶絶叫コースターに二人で並んでるとこ」
「何で早く言わないのー! すごいニュースじゃん」