理性と相反する感情を抑えきれず、結局私は比呂くんとコースターの列に並んでしまった。
「一時間待ちか……結構あるな」
「全然短い方だよ。平日だし」
「へえ、そんなもん?」
何をやっているんだろう。
誰が見ているか分からないのに。
それでもいい、と思っている自分がいる。
「でも……比呂くんが一緒に乗ってくれるなんて思わなかった」
ポツリと呟いた本心。少しの沈黙の後、比呂くんは言った。
「別にまぁ、暇だったしね。そっちこそ、いいの? 大嫌いな俺とで」
「それはお互い様でしょ」
そんなことない、とギリギリまで出かかった言葉をグッと飲み込む。
「そうだな。いくら俺が鬼でも、あんなに乗りたそうにウズウズしてる奴を見捨てるなんて忍びなくてね」
「……っ」
思い出して、恥ずかしくなる。
確かに乗りたかった。乗りたかったけれども。
「冗談だよ」
比呂くんは赤面する私を見て、また笑った。

