この人混みだ。はぐれてしまうのは容易かった。

《今どこー?》

私は人混みを避け、少し離れた所に出ると、スマホを取り出して麻実にメッセージを送る。
スマホの画面が真っ暗になったのは、その直後のことだった。

(えっ……充電切れ? 嘘!)

昨夜の充電忘れに頭を抱える。
連絡手段を失ってしまえば、広いパーク内で麻実と再会することは不可能に近い。

(はぁ……どうしよ)

こうなってしまったものは、仕方がない。
一人トボトボと歩き出した私は、不意に衝撃によろめく。

「痛っ……!」
「ご、ごめんなさい!」
「いや、俺の方こそ突っ立って……」

前方不注意で私が背後から激突してしまったその人は、申し訳なさそうに振り返った。

「あ……」

二人の声が重なる。