「最っっ低! 麻実と会ったばかりなのに……何考えてるの!? 麻実に申し訳ないと思わないの!?」
「……それこそ君には関係ないね。だいたい、俺が梶川に罪悪感を感じる理由がないし」
比呂くんは殴られた頬を少しだけ押さえると、全く悪びれる様子なく言った。
「だって……麻実に告白されたんでしょ!」
「それが何? 付き合ってもないのに、自分に好意を持ってるって理由だけで、そんな気を遣わなきゃいけないのか。随分横暴だな」
「え……?」
それは頭を鈍器で殴られたかのような衝撃。
「もし、かして……断ったの?」
「だったら何?」
「そう……なんだ。ごめん……」
その時、私の心を満たしていった感情。
その正体に本当はもう気づいていた。
けれど、認めることはできない。
だって、こんな気持ちは間違っている。

