義兄(あに)と悪魔と私

 
旅行委員というのは、想像していた以上に忙しい。
ルート散策のプラン作成、旅行のしおり作り、朝食の座席表作り、夕食の座席表作り、新幹線の座席表……

私と比呂くんは度々放課後居残りをして、作業しなければならなかった。

「ねぇ、ルート散策の時班分けって、くじ引きだっけ?」
「くじならもうできてるよ」

この日、旅行を一週間後に控え、私達の作業は大詰めだった。
二人きりの教室で、いつものように作業する。

「そうじゃなくて……やっぱり、くじ引きやめない?」
「何言ってんの、今さら」

比呂くんは私の提案に眉をよせた。

「大体、自分が言い出したことだろ」
「うん。そうなんだけど」

私がくじ引きを言い出したのは、比呂くんの班が絶対女子の取り合いになると思ったからだ。

「考えてみたら、修学旅行って一生の思い出になる行事だよね。だったら、みんな仲の良い友達と一緒に行きたいんじゃないかなって」