義兄(あに)と悪魔と私

 
その日の放課後、早速旅行委員の集まりで残るように言われた。
クラス毎の委員を集めて、修学旅行の説明会をやるらしい。

「席も隣だし、委員も一緒って……円どれだけツイてるの?」
「いやぁ……そんなこと、ないよ」

終礼後、思った通り麻実の恨めしげな顔。
私にとっては、むしろツイてなさすぎである。

「もしかして、運命はあたしじゃなくて円の方にあるのかなぁ?」
「や、やめてよ」

麻実が妙なことを言い出すものだから、私は焦った。

(冗談じゃないよ。気持ち悪い)

「そんなことより、ライン交換したんでしょ。どうなの?」

少し前、麻実は比呂くんとラインを交換した。
これは、今まで彼に憧れて来た女子達の実績からすると、快挙らしい。

「うん。まぁー可もなく不可もなく。なかなか盛り上がらないんだよね……」