義兄(あに)と悪魔と私

 
私が半ば呆れていると、比呂くんが手を挙げて言った。

「とりあえず俺、言い出しっぺだからやります。まだ何の係にもなってないし」

その途端、教室がざわめきだす。
「有坂くんがやるならわたしも」という、そんな声がいくつか聞こえた。

(みんな現金だなぁ……)

しかし、どうやら彼の出した「まだ何の係もやっていない」という条件が足かせになったらしい。

「では、男子は有坂くんにお願いします。女子でまだ何の係もやっていない人は挙手して下さーい」

すると、手を挙げたのは私を含めた女子三人。

(三人……!?)

あまりの少なさに驚愕する。三分の一という確率の高さに、嫌な予感がした。

そして三人でじゃんけんした結果、私は多くの女子が羨む旅行委員の座勝ち取ってしまったのだった。