私は恥ずかしさに顔を背ける。しかしそれは、一瞬にして正面に戻された。
比呂くんは私の顎を捕らえたまま、意地悪く笑う。
「勉強は終わりだよ」
瞬間、唇が重ねられる。
この前の乱暴なキスが思い起こされたが、それは少し違っていた。
キスは次第に貪るように深くなっていく。
ねっとりと絡み付いて、離れたいのに離れられない。
(息が……苦し……)
窒息するかと思ったその時、ようやく私は解放された。
肩で息をする私を、比呂くんは涼しい顔で見下ろす。
「相変わらず、下手くそだなぁ」
「――何もしないって言ったのに!」
私が叫ぶと、比呂くんはフンと鼻を鳴らした。
「大声を出すなよ。下に聞こえるだろ。それに俺は勉強を教えるって言ったたけで、何もしないなんて言ってない」

