義兄(あに)と悪魔と私

 
うちの学校のサッカー部はキツいので有名だ。
そんな部でレギュラーを張りながら、成績も常にトップクラス。
それだけで十分すごいのに、そこにバイトを加えても大丈夫だと涼しい顔で言い切る……それだけは尊敬した。

「そこまで言うなら。うーん、でもねぇ……」

それでも渋る母に、比呂くんは更に畳み掛ける。

「心配はかけないよ。夜も遅くならないようにするし、家の近くで……」
「そうだわ!」

考え込んでいた母が声を上げる。
そして、とんでもないことを口にした。

「円の家庭教師なんてどう? 家なら遅くなっても安心だし、円の成績も上がって一石二鳥。もちろん、お給料も弾みます」

冗談じゃない。あの悪魔が家庭教師なんて。

「ちょ、ちょっと待ってよお母さん! 私、家庭教師なんていらないから!」