車から降りて来たのは、間違いなく母と写真の男だった。
そして仲睦まじくホテルへと入って行った。
物陰からそれを見届けて、絶望感に打ちひしがれる私に、比呂くんはさらに言った。
「俺達も行こう」
「え?」
私は比呂くんの意図をはかりかねた。
ホテルの中まで母を追いかけるのか、それとも。……それとも。
「む、無理だよ。私達制服だよ?」
「大丈夫。ここのホテルは何も言ってこない」
「でも……」
「怖じ気づいたの? なんでもするって言ったじゃん」
私は何も言えなくなって、比呂くんに手を引かれるままホテルに入った。
ホテルのフロントは無人で、比呂くんが慣れた手つきで部屋を選んだ。
結局、誰にも咎められることはなく、私達は部屋に入れてしまった。
「こういう所、よく……来るの?」
「そういう風に見える?」
「別に。なんだか慣れてるみたいだったから」
恐怖を紛らわすように、悟られぬように、私は精一杯気を張った。

