今更だとか、当然の言葉で円は俺をなじった。
しかし、しばらくすると気が抜けたように空を見ていた。
その瞳には何も映っていない気がして、急に不安になる。
あまりにもはかなくて、今にも消えてしまいそうな。
「円……?」
声をかけると、反応はした。「どこかへ行って」と俺に言った。
――無理だ。置いていけるわけない。
気づけば、円を腕の中に引き寄せていた。
「――っ、はなして!」
「嫌なら突き飛ばして。じゃないと離さない」
嫌がる円に、そう声をかける。
しかし円は動かなかった。
それが意味するところは分からない。けれど、円が少しでも安らげたのだと信じたかった。
「心配しないで。良子さんのことなら、俺がなんとかする。きっと大丈夫だから」
大丈夫にしてやる、俺が。
何もかも上手くいくと思ったんだ、この時は。

