「おかしいね、あなたはそれを望んでるんじゃなかったの?」
はりぼてのような繕いは、いとも簡単に見抜かれて、嫌な汗がじわりとにじむ。
「あなたは最初、むしろ家庭崩壊を望んでたじゃない。私を何て言って脅したのか、覚えてないの?」
「それとも、私と母に情でも移った? ここへ来て家族を壊すのが嫌になった? そんなわけないよね、私のことはあんなに簡単に壊したのに」
そうだよ。その通りだ。
矛盾している、今の俺とは。
何も言えなくなった俺を、円はさらに訝しむ。
苦しい。だけど彼女から逃げることは許されない。
気力を振り絞って、精一杯の笑みを浮かべる。嘘が見えないように。
「違うよ。別に情とかじゃない。ただ俺も今の生活は案外気に入ってる。家も新築したばかりだしね。嫌な修羅場を見ないで済むなら、それも悪くない。もちろん、君の言う通りいつ壊れるとも知れないけど」

