義兄(あに)と悪魔と私

 
「君や良子さんがどれだけ誤魔化しても無駄だよ。プロの目はごまかせない」

どうやら写真は探偵に依頼して撮らせたものらしい。

だけどもうそんなことはどうでもよかった。

「……ここまで分かってて、今更何を? これ以上証拠はいらないじゃない」
「やっぱり知ってたんだな」

急に比呂くんの声が冷たくなったように感じた。

「知ってて、俺や父さんを騙してた」
「違う……私は!」
「今の反応が全てだろ。この期に及んでまだ騙そうとするのか」
「ちが……」

違うと言いかけて、私は口を閉ざした。
何も違わなかった。私は母の不貞を隠すことしか考えてなかった。

自分のことしか、考えてなかった。

「丁度いいな。来たよ」

その時、比呂くんが表を見て言った。
向かいのホテルの地下駐車場に、黒の高級外車が入っていく。

「俺達も出るから」