義兄(あに)と悪魔と私

 
しゅんとして小さくなる円を見て、徐々に冷静さを取り戻す。
しかし、問題はここからだった。

「私が、軽率だった。だけど、比呂くんこそどうしたの? 早退したって、瀬戸くんに聞いたけど」
「私のこと止めに来たんでしょ? そんなに焦って」

俺の行動を不審に思った円からの問いに、上手く答えられない。

「比呂くんは探偵使って調べてたんだから、きっと詳しいはずだよね。私がそれを知ったら、何か困るの?」

困る。だが、そんなことは言えない。
必ず理由を問われるから。
そして、君に傷ついて欲しくないから……なんて、最も俺に言う資格のない言葉だった。

「君が下手を打てば、それが即家庭崩壊につながる可能性もあるわけだろ。それは避けたかったんだ」

苦しい言い訳だった。