義兄(あに)と悪魔と私

 
しかし、俺は円の行動力を少し甘く見ていた。

それは学校が夏休みに入る、一週間ほど前のことだった。
円が突然学校を休んだ。

俺が家を出るとき、まだゆっくり朝食を食べていた円を思い出す。
そして、直感した。

なんとかしなければと思った。
円を、本当の父親会わせてはいけない。
でも、どうすれば?

とりあえず、適当に理由をつけて学校を早退する。
そして円を探し始めてすぐ、かつて二人で行ったホテルの前のカフェで円を見つけることができたのは、本当に幸運だった。

「何やってんの? 馬鹿なの?」

円は一人でスマホをいじっていた。
まだ父親に会った様子がないことにホッとして、同時にその行動の軽率さに怒りが込み上げてきて、思わず声を荒らげた。

「学校を無断欠席なんかしたら、家に連絡いくに決まってるだろ。もう少し考えて行動しろよ!」