それからの俺は、自分の感情を押し殺すように円との関係を続けた。
しばしば苦しげに顔を歪める円を見るたび、幾度となく言葉がこぼれそうになる。
「ごめん」は必死に飲み込んで、ただ快楽に溺れた。
こんな歪な関係じゃなくて、もっと真っ当に円と向き合いたい……そんな本心は彼女に悟られぬように。
間違っているのは分かっていた。
だけど、手放せばきっと二度と触れることは叶わなくなる。
意気地のない俺は、決断を先伸ばしにした。
しかし、ある日事態は急転する。
円が良子さんの不倫をやめさせたいと言い出したのだ。
それはいけない。
円が良子さんと自分の「秘密」に近づいてしまうと思った。
本当の父親と、自らの出生の秘密。
知らない方がいいに決まっている。
俺ならそう思う。
だから、協力をしてほしいと言う円にはその場で断った。

