それほど大きくはないが、洋風の、ちょっとしたお城のような造りの建物。
夜であれば、そのイルミネーションが輝いて、もっと存在を主張するのであろうことは容易に想像できた。
(まさか、あそこにお母さんが現れると?)
「良子さんには、今日はテストで夕方までって言ってあるから」
「なんで……」
「その方が尻尾を掴みやすいだろ」
比呂くんは事も無げに言う。
母は専業主婦だ。私達が学校でいない時間を狙うと言いたいのか。
ずいぶんと計画的だ。この様子だと、私が気づくよりずっと前から、知っていたように思える。
「て言うか、もう尻尾は掴んでるんだけどな」
比呂くんはテーブルの上に、写真を数枚並べた。
母と見知らぬ男が二人で写っている。式の日に見たあの男だろうか。
車内でのキス、ホテルから出てくる写真……
(ああ……ダメだ)
私は思わず目を伏せた。

