泣いている円に、迫るコウ。
その瞬間、沸騰するような感情に襲われる。
思考するより速く、俺は円を連れ出していた。
「こんなところ……勝手に入って大丈夫なの?」
強引に連れ込んだホテルの倉庫で、円の声は震えていた。
俺は扉の鍵を閉め、彼女に向かい合う。
「どうして……閉めるの」
「邪魔が入ったら面倒だろ?」
瞬間、円の顔がこわばるのが分かった。
だけど、この場から離れようとする円の言動は余計に俺を煽った。
「奴隷のくせに生意気なんだよ」
コウと一緒にいたことを問えば、俺には関係ないと言い捨てる。
正論だからこそ、腹が立つ。
そんな正体不明の激情に支配され、俺はどんどん冷静さを失っていく。
「旅行中は関係ないとでも思った? 残念。奴隷は奴隷。俺と君はそういう関係なんだから」

