義兄(あに)と悪魔と私

 
私達は終点でバスを降りた。
そして繁華街の中心地にほど近い、ビルが立ち並ぶ通りのカフェへと入った。

「何にする?」

比呂くんは席に着くと、店員に渡されたメニューを私に見えるように広げて見せる。

「私は……いらない」

ケーキが有名なお店らしく、美味しそうなケーキの写真が並んでいたが、今はそんな気分にはなれない。

「そう? 長期戦になるかもよ」
「……何を考えているの?」
「何って、言ったじゃん。確かめるんだって」

そう言って、比呂くんは表の通りにチラリと目をやった。

私達のいるカフェはガラス張りになっていて、通りの向こう側までよく見える。
来た時には気がつかなかったが、カフェの向かいにホテルが建っていた。