義兄(あに)と悪魔と私

 
「次のは、街の方にいくやつだよ?」
「知ってるよ」
「え……じゃあ?」

私の言葉に、比呂くんはクスリと笑った。
いつもの爽やかな比呂くんとは違い、なんだか怪しげな雰囲気を感じて、私は少し不安になった。

(なんだか……変?)

「私、明日テストだから行けないよ……勉強しなくちゃ」
「明日のは単位には関わりないよ。だから悪くたって大丈夫」
「そういう問題じゃ」

比呂くんの目的が分からなかった。私と出かけて、どうしようというのだろう。

「じゃあ、こう言えば一緒に行きたくなる?」

比呂くんは少しイラついたように言った。

「どういう意味?」
「良子さんって、不倫してるよな」

心臓が早鐘のように脈を打つ。
私は必死に次の言葉を探した。