義兄(あに)と悪魔と私

 
バスが行ってしまったのを確認すると、比呂くんはパッと手を放した。

「怒ってる……?」

比呂くんは言った。

「私は……怒ってないけど。比呂くんこそ怒ってるかと思った」
「え? なんで?」

もう辺りに生徒は誰もいなかったのて、私は素直に話した。

「学校で変な態度とっちゃったから……ごめんなさい」
「……いいよ。別に気にしてない」
「友達にも誰にも、比呂くんと兄妹になったことは話してなくて……勝手なんだけど、これからも秘密にしてもらってもいいかな?」
「学校では他人のフリってことか」
「うん。ごめんね」

とりあえずこれで比呂くんへの根回しは済んだと、私は安心した。あとは、ばれないように過ごすだけだと。

「じゃあ、とりあえず次来たバスに乗ろう」

比呂くんの言葉に私は首をかしげる。
次に来るバスは、私達の家の方へは向かわない。
それにそもそも、比呂くんは今朝は自転車ではなかったか。だからこそ、私はバスにしたのだった。