メールで示された住所は、二つ隣の町だった。
これなら電車とバスで行ける。今から行っても暗くなる前に帰れる、と思った。
思い立った私は、すぐに出掛ける準備を始める。
「出掛けるの?」
途中、バタバタと準備を始めた私を、廊下ですれ違った比呂くんが呼び止めた。
「うん……ちょっと」
一瞬、比呂くんに話すべきか迷った。でも。
「おじさん……なんて言ってた?」
「ああ、今日の夜には出張先から戻るようにするって。それまでは警察にも言うなって」
「もう……終わりだね。どっちにしろ」
失踪騒ぎなんて、上手く言い訳できるものなのだろうか。
無理だと思った。母がどうであれ、この家族は終わりに向かっている。
「……それ、どういう意味?」
比呂くんが私の言葉に怪訝そうな顔をした。

