「いいなぁー円! ヒロ様の隣なんて。代わってほしい!」
その日の帰り、案の定麻実は私の席を羨ましがった。
「代われるものなら代わってあげたいよ」
心からの本心だった。比呂くんが変なことを言わないか気になって、精神的にヘトヘトだ。なんとかしなくては。
「あたしも名前が北見だったらなぁ……まぁ、同じクラスだし。いくらでもチャンスはあるよね」
「うん。そうそう」
「去年同じクラスだった子に聞いたんだけど、彼女いないらしいの。これは行くしかないよね!?」
麻実が妙に上機嫌なのは、比呂くんに彼女がいないのが分かったから。私はそこでようやく、麻実が本気なのだと気づいた。
「あのさ、ふと思ったんだけど、ファンクラブの皆様とかは大丈夫なのかな? シメられたりしない?」
「えー? 大丈夫だよ。皆ガンガン行って玉砕してるらしいよ。逆にそれで結束が強まったり。誰も成功したことないし……安心してるのかな。でもあたし、行くからには本気で落とす気で行くし」
「そう……なんだ」
「うん。だから、円も協力してね!」
「もちろん、私にできることなら」
満面の笑みで言われて、私に断れるわけはなかった。

