「別に……」
沈黙の末、小さく言った比呂くんに私は違和感を感じた。
違う、本当はもっと前から感じていた。
確信が持てなかっただけだ、ずっと。
「……らしくないね。やっぱり何かあった?」
「ないよ。気のせいじゃない」
「私のこと止めに来たんでしょ? そんなに焦って」
比呂くんは私が今日しようとしていることに気づいて、学校を早退してまで止めに来た。
それは明らかだったが、腑に落ちないことがある。
「比呂くんは探偵使って調べてたんだから、きっと詳しいはずだよね。私がそれを知ったら、何か困るの?」
比呂くんは少しの沈黙の後、観念したように口を開いた。
「君が下手を打てば、それが即家庭崩壊につながる可能性もあるわけだろ。それは避けたかったんだ」

