義兄(あに)と悪魔と私

 
その日の夜、木曜の習慣。
私は比呂くんの部屋で、少し怠そうな彼に、いつも通り勉強を教わった。

期末テストが近い。しかし比呂くんは毎日夜まで続く部活をこなして、学校でも居眠りしているところなんてみたことがない。
きっと次のテストも一番なんだろうと思ったら、何故か急に彼が小さく見えた。

「疲れてるね、大丈夫?」

普段こんな風に声をかけたりすることはない。
比呂くんが怪訝そうな顔をしたので、私は付け加えた。

「サッカー部、大変だって聞いたから」
「別に、円ほどじゃないよ」

少し考えて、噂のことを言っているのだと気付いた。
あれだけ大きくなってしまった噂だ。比呂くんの耳にも入らないはずはなかった。

「人の心配だなんて、余裕だな」

比呂くんはローテーブルの向こう側で、頬杖をつきながら、目線は決して私を見ない。最近はいつもそう。

「……」
「……なに? 言いたいことがあるなら言えば」

私がじっと見ていることに気付いた比呂くんは、面倒臭そうに口を開いた。