私がお夕飯の買い物から帰ってくると、先生は、なにかキッチンで考えごとをしていた。
「先生、どうしたんですか…?」
「ん……、あっ、めいか。おかえり」
「はい、ただいまです。/
で、、なに考えてたんですか?」
「嗚呼………
次の作品の…………犯行動機?」
「……そうですか。
………キッチンで?」
先生は、現在人気ナンバーワンのイケメン推理小説家で、大ベストセラー作品を世の中に数多く輩出している
【柏木 誠先生】だ。
因みに『遙』が本名なんだけれど、
女性みたいなのがイヤなんだそうで、
【男らしい】って理由だけで、
『誠』に決めたらしい………。
そんな簡単にペンネームを決めていいものなんだろうか…?
私にはよくわからない。
ところで、キッチンで動機を考える意味ってなんなんだろうか……?
先生の書斎は和室と洋室の二部屋が、敷居で仕切られていて、
そのとなりには、気分転換のためだけに造られたプラネタリウムルームがある。
わざわざそのために一階と二階を突き抜けにして、その下の一階部分を出ると、すぐ目の前に更衣室があり、そのまま露天風呂に繋がるようにと改造された、
とんでもない部屋だ。
そんな部屋があるにも関わらず、
何故キッチン…?
「……もしさ、包丁への思い入れが強かったら、、、包丁を凶器に使うと思うか?」
「………いいや。私だったら、使わないと思いますけど……?」
「………じゃあさ、、
包丁を使わざるを得ない状況って、どんなときだと思う………?」
うーん………
さすがミステリー作家…
質問もまた、ミステリアスだ…。
「その人達の関係が、実は包丁で繋がってた。っていうのは、どうですか…?
その方がなんかしっくり来ません…?」
「んー…………」
ありゃま、また考え込んじゃった…
「…おい、お前、それよりお茶。そろそろ一杯くらい出せや。」
「……………。
はい、わ、か、り、ま、し、た!!」
んっもう!!こっちが真剣に手伝ってやろうとしてんのに!
なんなんじゃあいつは!
「…おい。」
「はい。」
「……ぬるい。入れ直せ。」
「………………………」
ブチッ!
「あとさ……」
「なんですか!…次は!」
「友人が今夜泊まりに来るから。
相手宜しくな。」
「…………はい?」
今そんなの初めて聞いたんですが…?
「だ、か、ら、
相手、宜しくなって言ってんだよ。
…お前、ホント理解力ないよなぁ…」
この場合、直前まで教えず、
しかもお夕飯の買い物から帰ってきてから教えるという貴方の方が、状況に対する理解力が低いと思いますけど……!っ
もう!なんなんだこの人は!!
もうっ!

