『私の好きな人には彼女がいる』

どうもこんにちは。
私の名前は大神 美亞(おおかみ みあ)っていいます。
突然ですが、私の好きな人には彼女がいます。

「ねえ今日どこで練習かなぁ?」

そうです、今喋った彼女が私の好きな人…柊 当麻(ひいらぎ とうま)の彼女です。
名前は桜川 陽世(さくらがわ ひよ)。
当麻と同じ部活に所属する高校1年生。
可愛くって人柄もよくて悪いとこなんて全然ない子。
小学生の頃は私の仲のいい友達でもあった。
だけど今は、そんな彼女のことが、大嫌い。顔も見たくない。
ただの嫉妬だなんてわかってるけど、そう思わずにはいられない。

「今日は外で試合だってさ」

陽世の問い掛けに当麻が応じる。
その返しに陽世は笑顔で、

「そっかぁ、頑張ろうね!」

なーんて憎たらしいくらい可愛く言ってくれちゃって。
ほら、当麻の顔が綻んだ。あんな顔私の前じゃしないのに。
…まあ、当たり前か。だって付き合ってないし。

そんな私の様子を見て、親友の城田 凉子(しろた りょうこ)が話しかけてきた。

「また嫉妬してんの?見なけりゃいいのに」

「だって…見たくなくても目で追っちゃうんだもん」

「フリーならまだ望みあったかもしんないけど、彼女持ちなら無理だって」

そう言って凉子はすたすた先に帰ろうとする。
私も凉子もあの2人みたいに部活に所属してないから、放課後はすぐに帰る。
けど、今思えば私も当麻と同じ部活入っとけばよかったなぁ…なんて。
まあテニス部なんて運動系の部活、私には出来ないんだけど。

…あぁでも、マネージャーくらいになっときゃよかったな。